研究課題
非ヒト霊長類における遺伝子改変技術は、疾患モデル動物の作製やそれを応用した前臨床試験に非常に有用であると考えられるが、依然として報告例は少ない。本研究では、ヒトに近い旧世界ザルの一種であるカニクイザルをヒトのモデル動物として用い、遺伝子改変個体および多能性幹細胞の効率的作出を試みた。遺伝子改変個体の作出にはレンチウイルスベクター法を用い、多能性幹細胞の遺伝子改変には近年新たなゲノム編集技術として注目を浴びているCRISPR/Cas9システムを用いた。まず、レンチウイルスベクター法によって遺伝子導入カニクイザルの作出を試み、全身でGFPを発現するトランスジェニックカニクイザル個体を得ることに世界で初めて成功した。非ヒト霊長類を用いたヒト疾患モデル動物を作製することは、新たな前臨床モデルの創出に繋がり、将来的に医療産業の振興に発展するものと期待される。また、CRISPR/Cas9システムを駆使したレポーターシステムを応用することによって、マウスES細胞型の高品質なカニクイザルES・iPS細胞を樹立、ヒトでは不可能なキメラ実験を通してその品質を評価することで高品質な非齧歯類ES・iPS細胞の樹立に繋げる基盤技術を確立した。本研究で使用した遺伝子発現増幅技術は、発現が微弱であることが想定されるレポーターの発現を増幅することに有用であると考えられる。この遺伝子発現増幅型レポーターのノックインは、その技術が確立されると、今後標準的な手法となり得るポテンシャルがあり、意欲的な課題であると考えている。
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Science Advances
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PLoS One
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巻: 11 ページ: e0159246
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Scientific Reports
巻: 6 ページ: 24868
10.1038/srep24868
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