建築物の劣化に大きな影響を与える水分の浸透を制御する手法として、防水・撥水材による表面処理に着目した。ガンマ線含水率測定装を用いた吸水実験と透湿実験により処理層の水分特性を把握した上で、材料内の空気圧変化を考慮した水分移動モデルを提案し、実験時の水分移動の様子を数値解析により明らかにした。 また、屋外に設置した木材・石・焼成材に数種の撥水材を塗布した試験体を約2年半にわたって観察し、変色やカビ発生の抑制効果を確認した。屋外文化財への撥水剤の適用を検討するため、脆弱な凝灰岩で構成されたトルコ・カッパドキアの岩窟教会と同質の小岩体に撥水剤を塗布し、定期的な観察を行ったが顕著な効果は認められなかった。
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