研究課題/領域番号 |
15K21173
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
虫本 雄一 島根大学, 医学部, 助教 (90467712)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 性分化疾患 / DSD / タンデム質量分析 / ステロイド |
研究実績の概要 |
【正常新生児の血液を用いてステロイド一斉分析を行い、正常新生児のステロイドプロファイルを検討する】 出生週数が37週から42週未満、出生体重が2,500 g以上の正期産児(男女各40名)の生後5日目の血液ろ紙血を用いて、タンデムマスを用いた血中ステロイド分析法について検討を行った。今回対象としたステロイド代謝産物は、コルチゾール、11デオキシコルチゾール(11-DOF)、21デオキシコルチゾール、17αヒドロキシプロゲステロン、17αヒドロキシプレグネノロン、コルチコステロン、デオキシコルチコステロン(DOC)、プロゲステロン、プレグネノロン、テストステロン、アンドロステンジオン、デヒドロエピアンドロステロンの12種類である。目的とする12物質のキャリブレーターをろ紙血で作成し、内部標準にはCHS MSMS Steroids Kit(Perkin Elmer社)を用いた。前処理、分析条件を調整し、各物質の検出限界、定量限界を算出し、検量線を作成した。11-DOF、DOC、コルチコステロンなどのいくつかの物質については、正常新生児では、検出感度以下となる事も考えられたが、血液ろ紙からの微量検体で12種類のステロイド一斉分析が可能であることが確認できた。 【確定診断のついている性分化疾患症例を対象として、疾患特有なステロイドプロファイルを検討する】 ステロイド合成酵素欠損症の代表疾患である先天性副腎過形成患者のろし血において、同一患者からの検体を含む12検体の分析を行った。疾患特有なステロイドプロファイルについて検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり、本年は正常新生児を対象として血液ろ紙を用いた血中ステロイド分析の方法を確立することができた。 確定診断のついている性分化疾患症例を対象とした疾患特有なステロイドプロファイルの検討については、先天性副腎過形成患者の血液ろ紙を測定することができ、先天性副腎過形成が血中ステロイド分析で診断が可能であることを確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
①正常新生児の検体については来年度以降も検体数を増やし測定を行い、正常新生児ろ紙血におけるステロイド代謝産物の基準値の作成について検討を行う。 ②ステロイド合成酵素欠損症が否定的であった一過性高17OHP血症の児の血液ろ紙について分析を行い、先天性副腎過形成と一過性17OHP血症との鑑別を行うための測定項目、カットオフの作成について検討を行う。 ③先天性副腎過形成以外のステロイド合成酵素欠損症について分析を行い、各疾患におけるステロイドプロファイルを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた試薬の販売が延期となったため
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次年度使用額の使用計画 |
上記で予定していた試薬を購入する
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