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2016 年度 実施状況報告書

地域防災活動を通じた女性の力量形成と社会参加に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K21317
研究機関弘前学院大学

研究代表者

生島 美和  弘前学院大学, 文学部, 准教授 (80535196)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードレジリエンス / 避難所運営 / 自主防災組織 / 公民館
研究実績の概要

2年目では、主として地域ガバナンスに注目しながら、防災活動の展開と住民、特に女性の参加実態について検証することとした。その際、特に避難所運営訓練や被災体験に基づきながら、公民館の建替えおよび防災訓練を実施してきた地区に着目し、防災を地域課題としながら多様な担い手を浮かび上がらせ災害に強い(「レジリエンス」の高い)地域づくりを実質化するプロセスを検証するとともに、公民館の役割についても明らかにしてきた。
まず、「災害に強い地域」の具体像を検討するにあたり、レジリエンス概念が有効であることを確認した上で、レジリエンスを高める住民の学習について「多様なニーズを持つ人々」、「共同性」、「多様な担い手」、「地域の自律性」という点に着目することにした。すると避難所運営訓練は、「避難所」という非日常の空間をイメージしながら共同作業を行い葛藤や模索をする中で、住民間に存在する様々なニーズやそれを持つ人々に気づく学習場面であると捉えられた。そしてこうしたニーズを持つ人々は災害時のみならず非常時でも共に地域生活をしているのであり、それに日常的に対応できる意識と行動および住民間の関係性をつくることの必要性が確認され、また参加者間で共有される機会となっていることが明らかとなった。
さらに、そうした学習を布石とした公民館の建設と、防災拠点でもある施設を運用できるようにする公民館の事業、自主防災活動を通じた住民の学習について検証した。そこから防災拠点としても設置されてきた公民館が平時から運用されたり、自主防災組織が実質的な活動を展開してきていることによりレジリエンスを高める学習活動が展開されてきている地区の公民館は、平時と非常時といった二重の機能を架橋しながら地域の自律性と多様な担い手を作ってきているとともに、その空間こそがそうした冗長性をイメージさせるのに有効であると捉えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

女性の地域防災活動への女性の力量形成と地域参加を検討するにあたり、まず自主防災組織の組織化と活動の広がりを捉えることとした。その際、地域防災活動の起点となりながら、平時では地域の学びの場、災害時は防災拠点と二重の機能を持つという意味で、公民館が果たしてきた機能を明らかにすることができた。
また本研究にあたっての直接的な予算執行はないものの、研究成果を生かし社会的貢献として、性別や災害時要援護者も含む多様性を配慮した地域防災活動の組織化や参加を促進するためのシンポジウムの企画・開催(「防災を考える-『しなやか』に暮らせるまちへ」主催:学園都市ひろさき高等教育機関コンソーシアム、日時:2016年12月10日、場所:弘前市民会館)や、弘前市内の大学生約40人の参加による避難所運営訓練(2016年8月23日)の実施が実現した。

今後の研究の推進方策

最終年度では、これまで捉えられてきた地域防災活動をふまえながら、それらに参画する女性がどのようなプロセスで力量形成をしてきたか、インタビュー調査を実施することで、本研究の目的の解明を目指したい。その際、個人情報保護に十分注意しながら、ライフコースや学習歴、地域活動への意識や活動の実態、ジェンダーや防災に関する意識について着目する。
さらに、防災意識を高めることへの次世代育成として、学校における地域防災活動に対する教育・実践についても視野に入れた布石を作ることにし、多様な主体による地域防災活動およびそれを通じた地域運営に寄与する成果を出していくことにしたい。

次年度使用額が生じた理由

物品購入などをせず、予算執行・調査旅費の際に差額が生じたため。

次年度使用額の使用計画

調査旅費および調査にかかる経費に補充する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] レジリエンスを高める住民の学習活動の展開-避難所運営訓練の学習成果と公民館のデザイン-2017

    • 著者名/発表者名
      生島 美和
    • 雑誌名

      日本公民館学会年報

      巻: 13号 ページ: 44-54

    • 査読あり

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公開日: 2018-01-16  

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