日本学術振興会の創設メンバーの一員である櫻井錠二の事績のうち、従来注目されてこなかったスコットランドの植物学者マリー・ストープスとの能の翻訳書"Plays of Old Japan:The No"(1913)出版という文化的活動を見直した。 特に、大英図書館に所蔵されている櫻井の往簡200点を調査した結果、櫻井が翻訳における語句の精確性や日本的な感性を重視した挿絵の選択に注力していたことが明らかになった。このことは、日本比較文学史の再編成において重要な役割を担うものと確信する。 また、遺族へ聞き取り調査や寄託資料の調査を実施し、書簡との整合性を確認すると同時に、調査結果の還元を行うことができた。
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