本研究では、米とイネ科花粉に共通する潜在的アレルゲンについての抗原性を明らかにするとともに、花粉症や食物アレルギーの誘発性を検討した。イネの潜在的アレルゲンタンパク質は小麦などの他の穀物にも共通して存在していたが、加熱などにより特異的な抗体との反応性が低下したことから、穀物を摂取する際の食物アレルギーを起こしにくいものであると考えられた。一方で、花粉症患者血清抗体と潜在的アレルゲンとの結合性を調べた結果、多くの患者血清と強い結合性を示したため、イネの潜在的アレルゲンも雑草や牧草などのイネ科花粉と同様に花粉症を引き起こす原因となると考えられた。
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