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2018 年度 実施状況報告書

中国・農民工支援NGOの活動に見る新時代の社会運動

研究課題

研究課題/領域番号 15K21642
研究機関独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所

研究代表者

山口 真美  独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター ジェンダー・社会開発研究グループ, 研究員 (60450540)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2021-03-31
キーワード中国 / 農民工 / 労働運動 / 社会運動 / 労働NGO / 新しい労働運動 / 新しい社会運動
研究実績の概要

本研究課題の目的は、中国の都市部において出稼ぎ労働者の支援を行う草の根NGO(以下、労働NGOと表記する)の機能と社会的な位置づけを考察することにある。労働NGOを含む草の根NGOは、中国において1990年代後半に始まり、それ以降活発に活動している新しい社会組織である。労働NGOの主な活動内容は法律的手段による労働者の権利保護と労働運動の支援であり、主な担い手は労働者自身、および大卒のソーシャルワーカーやメディア出身者、研究者などである。研究手法は主に、文献調査、理論レビュー、専門家へのヒアリング、及び中国国内の労働NGOが活動する主な都市への労働NGO訪問調査を実施している。
H27年4月-28年6月まで研究を実施したのち、H30年4月まで研究の中断(研究代表者の休職のため)期間を経て、H30年4月より研究を再開した。ところで、本研究課題をめぐっては中国国内の言論統制の強化により、調査対象である労働NGOが厳しい弾圧に遭い、H30年4月の時点ですでに労働NGOのほとんどが実質的な活動中止や登録抹消など、インタビュー訪問不可能になってしまった。
そこで、実質的な研究2年目となるH30年度の研究体制は以下の調整を行った。第1に、初年度に実施した中国国内の労働NGOへのインタビュー記録をまとめる上で、参考となりうる中国の建国前後期からの労働運動の歴史について、文献収集を実施した。この成果はインタビュー記録と接続させる形で中間報告書としてまとめた。第2に、労働運動を広く社会運動の中に位置づけ、中国の共同研究者と日中の市民運動(消費者運動)の歴史について調査を開始した。
労働運動の歴史的展開については、今につながる運動の担い手や意識の継承、及び当局の対応の継承性が見いだされた。社会運動については引き続き、研究を続けている段階にある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

労働NGOについては、現状の進展がストップしてしまったため、これ以上の研究の深化が難しい状況にある。現在は既にある調査内容をいかにまとめるか、また今後の研究の方向性を模索しているところである。

今後の研究の推進方策

まず、農民工支援の労働NGOの活動については、実質的に2015年頃を最後に、政治的状況の悪化により活動できなくなっている状況にある。労働NGO研究としては、昨年度の研究を継承して、労働運動としての歴史的な流れ、他の社会運動との連帯などにも目配りしつつ、本研究課題の初年度のインタビュー調査成果と代表者の従来の研究蓄積を合わせて、研究論文としてまとめる方向性を引き続き探りたい。その際、現状において可能な調査としては、香港、その他欧米圏の中国の労働問題に関わる労働NGOや研究者の活動や見方は引き続きフォローしていきたい。
第2に、労働運動を社会運動の一環として位置付ければ、日中の消費者運動、環境運動、公害反対運動などの社会運動の経験も重要である。機会をとらえて、所内及び中国の共同研究者とともに社会運動の事例研究を引き続き実施する。
第3に、労働者の権利の侵害と擁護が大きな課題となる現場は、中国の国外に目を向ければ、海外への移民労働者の労働現場がもう一つの大きな焦点となる。本研究課題の中でも、日本国内の外国人労働の受け入れ、就労現場の動向にも目配りしていきたい。外国人労働の受け入れと定着は、今日の日本社会にとっても重要な課題であり、本研究課題の中で中国国内の労働問題と関連付けて調査、研究することには一定の意義があると考える。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者が1年9か月に渡り、産休育休のため、研究を中断していたため。H30年度に研究を再開し、再度計画の下に研究を遂行するつもりである。

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公開日: 2019-12-27  

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