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2016 年度 実施状況報告書

離島火山活動のリモートモニタリングの実現(国際共同研究強化)

研究課題

研究課題/領域番号 15KK0177
研究機関神戸大学

研究代表者

杉岡 裕子  神戸大学, 理学研究科, 准教授 (00359184)

研究期間 (年度) 2016 – 2018
キーワード海底火山 / 海洋島火山 / リモートモニタリング / 海底地震観測
研究実績の概要

今年度スタートした本国際共同研究は、基課題研究「離島火山活動のリモートモニタリングの実現」(科研費基盤研究A)で実施した観測研究から得られた知見を基に、環太平洋に位置する海洋島火山および海底火山活動の網羅的なリモートモニタリングを実施するものである。今年度は、基課題研究で新規開発した離島火山活動モニタリングシステムを用いた観測を、対象とする西之島火山島近海において、平成28年10月の調査船「新青丸」航海中に実施し、システムに搭載した空振計、ハイドロフォーン、GPS波浪計で記録されたデータ解析を行った。
西之島火山は、平成26年11月20日の噴火活動開始から平成27年12月に一旦活動が停止するまでの約2年間は継続的に爆発的なストロンボリ式噴火を繰返してきたが、その後約1年半の休止期間の後、平成29年4月20日に活動の再開が確認された。本家のストロンボリ火山の活動は、少なくとも1万年以上継続していると推測されており、西之島火山もストロンボリ火山のような息の長い活動を持続する可能性は原段階では否定できず、今後も観測を続けていくことは重要である。
そこで、表面上の噴火活動以外の火山深部の活動をモニタリングするため、共同研究先のニース大学のNolet教授が開発したフロート式ハイドロフォーン(MERMAD)の導入を計画している。今年度は、ニース大学の技術研究者のHello氏とメールや学会等の会合において、開発に関する議論を重ね、平成29年度のMERMAIDを用いた日本での初観測に向け、仕様の策定ならびに観測に関する具体的な計画を決定したところである。
一方、データ解析ツールの整備も同時に進めてきた。火山のように3次元不均質性が極めて高い構造に対し有効である、一つの地震波線追跡手法のJive3D(Hobro, 1999)をここでは採用し、西之島へ適用し始めたところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本国際共同研究は、基課題研究の離島火山活動のリモートモニタリングを目指した観測研究のみならず、神戸大学海洋底探査センターで推進している巨大カルデラの観測研究プロジェクトと連動して進めている。これらの観測研究は、日本の調査船運航計画との兼ね合いがあり、優先的に進めざるを得なかったため、共同研究相手先への渡航は未だ実現できていない。しかし、一方で、共同研究者であるニース大学のNolet教授、Hello技術研究員とは、メールや学会等の会合の場を通して、議論を重ねており、既に国際的にオフィシャルなCommetteeの立ち上げ、そのメンバー内での議論など、計画以上に進捗している部分も在る。ニース大学との共同開発観測装置のMERMAIDの日本での運用は初めてのことであり、このような事前の議論は非常に重要である。来年度の実海域における観測計画が遂行できるよう、今後も議論を継続的に行いたいと考えている。
また、他の相手先である米国大気海洋気象庁(米国)および包括的核実験禁止条約機構(オーストリア)との共同研究については、これからという段階であるが、それら二国との共同研究は、これまでに優先して実施してきた観測研究の知見に基づくものであり、来年度から開始する共同研究の準備段階と位置づけ、共同研究の材料である、西之島近海におけるハイドロフォーンで検出された火山性微動データの解析を鋭意進めているところである。

今後の研究の推進方策

平成29年度以降は、渡航先3カ国を訪問し、共同研究を実施する計画であり、具体的な推進方策を以下のように立てている。
(1)ニース大学(フランス):神戸大学が所有する練習船「深江丸」の観測研究航海が平成29年10月と平成30年3月に予定されており、いずれかの航海を利用して、MERMAIDの観測を実施する。このスケジュールに合わせて渡航し、機器開発に関する共同研究を行い、航海に当たってはニース大学のHello氏と共同で実施する。
(2)包括的核実験禁止条約機関(オーストリア):平成29年6月に当機関において、本研究テーマに関連した国際学会が開催されるため、それに合わせたスケジュールで渡航する。当機関へはこれまでに何度か訪問しており、共同研究者とも過去に共著論文を執筆するなど、既に土台が出来ている。このため、渡航中は効率的な共同研究が推進できる見込みである。
(3)米国大気海洋気象庁(米国):当機関への訪問は初めてであり、共同研究も初めてのことである。共同研究者であるDziak氏は、海洋島、海底火山観測研究の草分け的存在であり、渡航中は西之島観測で得られたデータを種に、効果的かつ具体的な議論を行う予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 備考 (4件)

  • [雑誌論文] Mantle transition zone beneath a normal seafloor in the northwestern Pacific: Electrical conductivity, seismic thickness, and water content2017

    • 著者名/発表者名
      Matsuno Tetsuo、Suetsugu Daisuke、Baba Kiyoshi、Tada Noriko、Shimizu Hisayoshi、Shiobara Hajime、Isse Takehi、Sugioka Hiroko、Ito Aki、Obayashi Masayuki、Utada Hisashi
    • 雑誌名

      Earth and Planetary Science Letters

      巻: 462 ページ: 189~198

    • DOI

      10.1016/j.epsl.2016.12.045

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Upper Upper boundaries of the Pacific and Philippine Sea plates near the triple junction off the Boso Peninsula deduced from ocean-bottom seismic observations2017

    • 著者名/発表者名
      Ito, A., H. Sugioka, K. Obana, R. Hino, D. Suetsugu, K. Nakahigashi, M. Shinohara, M. Nakano, Y. Yamamoto
    • 雑誌名

      Earth Planets Space

      巻: 69 ページ: -

    • DOI

      10.1186/s40623-017-0608-4

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [備考] Scientific American

    • URL

      https://www.scientificamerican.com/article/aquatic-robot-braves-volcanoes-and-typhoons-to-detect-tsunamis/

  • [備考] 神戸大学プレスリリース

    • URL

      http://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/research/2016_11_22_01.html

  • [備考] ASCII

    • URL

      http://ascii.jp/elem/000/000/995/995029/

  • [備考] 東京大学地震研究所プレスリリース

    • URL

      http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2016/10/7885529b08745f338dfb10ee9c653268.pdf

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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