研究課題
生理活性低分子化合物とタンパク質分子間の情報伝達は、精密な構造認識機構により効率よく機能し、生理活性発現のカスケード機構が働いている。両者の複合体形成を鍵段階として引き起こされその分子機構解明が本研究の目的である。具体的な研究素材(1)タンパク質脱リン酸酵素阻害、(2)昆虫(カイコ)休眠卵の中に発現する時間読みタンパク質(TIME)、(3)発光タンパク質について、タンパク質への部位特異的修飾位置検出結果を得、結果に基づいて次の素子設計・物質創製を繰り返し本質に迫っている。この手法は、ナノLC-MS・MS/MSによって実験化学として実証するもので、タンパク-低分子の組み合わせを選べば各方面に適用可能な方法論であることから、例えば薬業界における創薬化学や、薬剤動態解析など多方面に利用できる。本計画研究においては、特に(1)100%^<13>Cを4個組み込んだトートマイシンジカルボン酸の合成とタンパク質への取り込み、(2)休眠覚醒時間とTIME-EA4タンパク質のコンフォメーションの関係を部位特異的酸化修飾で解明し、(3)フッ素化デヒドロセレンテラジンの合成と取り込み、(4)分子設計とともにチャネルタンパク質に相互作用するテトロドトキシン第2段のテトロドトキシン不斉全合成を完成し、改良合成にも成功して(1〜4)の課題について詳報を報告した。同タンパク質に作用する巨大分子シガトキシンの合成についても、コバルト錯体のリガンド交換法など新手法を開拓するによって、シガトキシン右部分(UKLM-環)および左部分(BCDEF-環)のカップリングを実行し、次いでGH-環の合成を完成させることができた。これでBCDEFGHUKLM-環に保護基のついた化合物の合成ができたので現在はA-環と側鎖導入により全合成完成直前の状態である。本年度は追加予算を得て、タンパク質部位特異的修飾解析のための質量分析計のコンピューター関係を更新することができ、そちらも順調に研究を発展させることができた。
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