研究分担者 |
水本 好彦 国立天文台, 光赤外研究部, 教授 (20219653)
大江 将史 国立天文台, 天文学データ解析計算センター, 上級研究員 (30370109)
白崎 裕治 国立天文台, 天文学データ解析計算センター, 上級研究員 (70322667)
安田 直樹 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (80333277)
|
研究概要 |
平成16年度の最大の目標であった欧米のヴァーチャル天文台(VO)システムとの相互接続試験に成功し,お互いが保有する天文データや計算資源を共有する仕組みが構築できた。また,観測データ登録機能,メタデータ登録機能等を実装すると共に,いくつかの解析モジュールをJavaラッピングによりVOシステムに登録できた。さらにJAXA/ISASが運用する天文データベースをJVOシステムに接続することができた。その結果,複数データベースを用いたクェーサー探査,多波長データを活用した銀河のphotometric Zの決定等,天文研究を展開することが可能となった。これらにより本システム構築の基盤が整った。 VOの相互接続に必須である標準を定めるIVOAワークショップは,2004年5月に米国,また2004年9月にインドで開催された。JVOからも関連研究者が参加し,それぞれが研究開発しているVOシステムを相互接続するための標準作りに関する活発な議論を行った。その結果に基づいたシステム製作により,上述した日米欧のVOシステムの相互接続試験に成功した。これら研究開発成果を多くの研究会において公表することを通して世界におけるVOへの理解がより深まっただけでなく,我が国の活動度の高さを周知することができた。国内では,すばる望遠鏡で取得したサーベイデータを対象とし,VOを通じて天文研究を行う方法についてのサマースクールを開催した。 この他にも別途獲得した研究資金を活用して,欧米研究機関の直接訪問のみならずVO関連研究者による国際打ち合わせ等にも参加し,欧米における最新の開発状況を知ることができただけでなく,我が国における開発の最新状況を知らせるなど,共に足並みを揃えて研究開発を進めてゆくための重要な関係を築くことができた。年度当初は日本側が欧米に訪問することが主体であったが,年度後半にはストラスブールデータセンター(CDS)所長が国立天文台を訪問し台長との懇談を行うなど,研究機関同士の連携がさらに強化された。その副産物として日本天文学会が刊行する欧文研究報告誌(PASJ)に含まれる各種データがCDSを通じて世界の天文研究者に公開されることとなった。 また将来を担う若手研究者を積極的に派遣し,全体の派遣人数のうちほぼ半数を若手研究者が占めた。このような派遣は我が国の若手研究者にとって重要な人的ネットワークが築かれつつある。研究者交流等を通じて我が国の研究開発状況が世界に認知されるに伴い,我が国を訪問してその研究成果を学習したいとの要望も多く寄せられている。
|