平成16年度は、樹状細胞(DC)から生産されるIL-2およびIL-15の生産メカニズムと、それらサイトカインの免疫系ホメオスターシス調節機構における役割について検討した。 1)DCからのIL-2生産とその免疫学的意義 DCをさまざまなTLRリガンドで刺激した結果、zymosan、CpG DNA、peptideglycan、LPSにIL-2誘導活性が認められた。さらにそれらの刺激によりIL-2を生産するDCサブセットはCD4^+8α^-DCとCD4^-8α^+DCであること、DCからのIL-2生産にはTLR下流のアダプター分子MyD88からIRAK-4を経て、MEK1、ERKに至る経路が重要なことを明らかにした。また、DCの生産するIL-2はDC自身に作用にて同細胞からのIFN-γ生産を増加・亢進すること、T細胞のホメオスターシス増殖を負に制御することなどの興味深い知見を得た。 2)DCからのIL-15生産とその免疫学的意義 DCは主なIL-15生産細胞の1つであるため、特にDCの生産するIL-15の免疫疾患における役割を検討した。野生型マウスにおいて、zymosanやPorpionibacterium acnesにより誘導される肉芽腫形成やLPSによるエンドトキシンショックが、IL-15^<-/->マウスおよびDCを選択的に欠損する(ジフテリアトキシンを投与したCD11c-DTR)マウスでは誘導されず、またDCを選択的に欠損するマウスではIL-15の生産不全も観察された。それらのマウスでは、肉芽腫形成およびエンドトキシンショックの誘導に重要なケモカイン(CCL2/3/4)や炎症性サイトカイン(IFN-γ、TNF-α)の生産不全も明らかになった。さらにマウスIL-15活性を中和するモノクローナル抗体を作製し、同抗体の投与によりエンドトキシンショックによる個体死を回避することに成功した。
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