平成18年度は、樹状細胞(DC)の生産するIL-15による炎症疾患の誘導機構を解明することを目的として研究を行い、以下の成果を得た。 1)サルコイドーシスの原因菌の1つであると考えられているプロピオニバクテリウムアクネス(P.acnes)やザイモザンは野生型マウス肝臓へのモノサイトの浸潤と肉芽腫形成を誘導することが知られているが、IL-15^<-/->マウスに同肉芽腫形成が起こらないこと、その原因としてIL-12→ケモカイン(CCL2/3/4)経路が作動しないことを明らかにした。さらにDCを除去した.野生型マウスでもIL-15の生産低下を伴う肉芽腫形成不全がみられ、野生型マウス由来のDCをIL-15^<-/->マウスに移入すると肉芽腫形成が回復したことから、DC由来のIL-15こそが肉芽腫形成に必要であることg判明した。 2)P.acnesとリポポリサッカライド(LPS)による肝傷害やエンドトキシンショックもIL-15^<-/->マウスでは誘導されず、同マウスヘの野生型マウス由来DCの移入により、エンドトキシンショックが誘導されマウスが死亡したことから、DC由のIL-15こそがエンドトキシンショックの誘導に必要であることが判明した。これらの結果から、炎症反応メディエーターとしてのIL-15の重要性がクローズアップされた。また、これらの研究を通じてマウスIL-15に対するモノクローナル抗体を世界に先駆けて作製し、さらにマウスIL-15ELISAの系を構築した。同抗体は、IL-15中和活性も有しており、上記エンドトキシンショックの誘導を阻止できることも示した。これらの成果は、J.Exp.Med誌に掲載された。
|