研究分担者 |
柴 宜弘 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50187390)
木村 秀雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10153206)
中村 雄祐 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (60237443)
森山 工 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (70264926)
永田 淳嗣 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (30218002)
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研究概要 |
平成19年度は,本研究課題の最終年度として,分担者それぞれが成果論文の草稿を執筆し,成果報告会を開いて,最終成果をとりまとめた。同時に,本研究プロジェクト終了後の新たな方向付け,およびその際の協力体制について意見を交換した。 最終成果報告書の各論考を通じて指摘しうる成果として,以下の諸点が発見ないしは再確認された。第一に,農村のコミュニティ・レベルから,東アジア共同体のような国境横断的な地域共同体に至るまで,様々なレベルでグローバリゼーションと密接な関係をもって進展している「地域形成」は,グローバル化に対抗的な動向だけでなく,グローバル化を促進する契機をもっているケースも存在する。この点ではグローバルな志向性と地域的な志向性の交差のあり方そのものが問われなければならない。第二に,今日の世界の「地域形成」のあり方は,きわめて多様であるが,そのあり方は世界的な規模での比較考察が可能な,超地域的な共通性をもっている。第三に,こうした「地域形成」は,様々な「地域」の相互連関のダイナミックスの中で展開されている。そのような意味では,「地域連関」と「地域形成」は,密接に関連しあっている。今日の世界における「地域」の動態的な把握にとって,「地域形成」と「地域連関」という視座を併せ持つことは,有効な方法である。第四に,相互に位相を異にする複数の「地域」の間での連関を検討する方法としては,特有のシステムをもつ二つの社会経済単位の「分節=接合」(articulation)という視角が有効である。 分担者が四年間にわたり世界各地にまたがる「地域」を踏査し,その比較を通じて見いだしてきた上記のインプリケーションの豊かきから判断すれば,本課題の最終年度の目標は充分に達成されたものと見ることができる。
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