研究課題/領域番号 |
16202020
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研究機関 | 国学院大学 |
研究代表者 |
藤本 強 国学院大学, 文学部, 教授 (60011293)
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研究分担者 |
小林 達雄 國學院大學, 文学部, 教授 (70119048)
西本 豊弘 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 教授 (70145580)
松井 章 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター遺物調査技術研究室, 主任研究員 (20157225)
佐川 正敏 東北学院大学, 文学部, 教授 (40170625)
吉田 邦夫 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (10272527)
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キーワード | 土器の発明・受容 / 最古の土器 / 土器の機能 / 自由な成形・装飾 / 個体差と地域性 / 短い使用期間と変化 / 様式と形式組成 |
研究概要 |
本研究は世界各地の土器の出現について、土器を発明・受容していく社会背景を解明することにその主眼を置いている。これまでの土器出現の問題は最古の土器の存在を突き止める研究に集約されていたが、本研究では地域ごとに異なる、生活の中に土器を取り入れていく人間活動の解明に努める。土器の用途は容器だけでなく、調理具・食器として、また鑑賞用や死者への副葬品、棺として使われてきた。ほかの素材に比べ土器が優れる点は、素材の粘土が入手しやすいこと、可塑性に富み自由な成形ができること、焼成後は硬く、耐火性を持つことである。衝撃を与えると粉々にでき、都合がよい素材である。これらの特性は、同じ形の土器が2つとない一方で、モチーフが特定の人間関係内で共有されることに繋がるのである。個性的な形は用途に応じてある程度のカタチを保たれながらも、様々に変化する。これらの共通性と独自性を時間軸に沿って整理し、地域毎の土器との向き合い方を研究していくことが中心となる。また、その土器保有していた集団の残した遺跡から検出された諸属性の分析から、当時の環境やそれに基づく生業活動を整理し、土器の受容形態を解明する。 昨年度からの継続として、既存資料のデータの集成、整理分析を行ないながら、各地域の土器出現の様相を解明してきた。世界的なデータベースの構築は困難が伴うため、日本国内が3年間の達成目標となった。18年度には日本各地で土器を生活に組み込むシステムについてモデルの作成を図る。その中には土器自体に含まれる属性を分解整理することにより、人間の製作物としての土器を徹底して分析し、製作モデルの構築を図る。またこれらの土器に付随するその他の遺物類や土器が検出された遺跡についても土器の使用痕跡と併せて解釈を行ない土器の使用モデルの構築を図る。 さらに重要な要素として、土器を生み出したそれぞれの場の背景が異なる点に留意し、それぞれの出現期の土器自体の年代的位置づけ・および土器が存在する遺跡の環境復元を第2の柱とし、地域毎の最古段階の土器の年代測定試料の採取と、遺跡自体の現在の立地・植生を確認しつつ、当時の環境を復元しうる試料を入手し、具体的な分析・解釈を行なえるよう整備していく。
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