研究課題/領域番号 |
16205028
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
君塚 信夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90186304)
|
研究分担者 |
松浦 和則 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (60283389)
森川 全章 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (10363384)
黒岩 敬太 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70336006)
安藤 玲子 九州大学, 大学院・工学府, 教務員
|
キーワード | MMX型混合原子価錯体 / 自己組織性ナノワイヤー / 双安定性 / 一次元電子状態 / 金属ナノ粒子 / ナノ粒子細線 |
研究概要 |
1.一次元電子状態の制御とスイッチング機能の開発 多彩な電子状態を与えうる、MMX型ハロゲン架橋錯体と脂質からなる新しい自己組織性ナノワイヤーの開発を行った。MMX型錯体としては、バンドギャップの小さな[Pt(pop)_4X]^<4->(X=Cl, Br, I pop=P_2O_5H_2^<2->)を合成した。この錯体をカチオン性脂質(2C_<12>GluC_1N^+,1)で被覆することにより、有機溶媒中に一次元構造を保持した状態で分散させることに成功した。[Pt(pop)_4I](1)_4はCHCl_3中において、昇温/降温により、CT吸収が消失/回復し、自己組織性を有することが明らかとなった。つぎに、アゾベンゼン(Azo)部位を導入したカチオン性脂質を系統的に合成し、[Pt(pop)_4X]^<4->との複合体を調製した。[Pt(pop)_4I](C_<12>AzoC_3N^+)_4は、これまでの複合体とは異なり、シクロヘキサノン中において、サーマルヒステリシスを伴う相転移挙動を示した。このような、溶液中での混合原子価の双安定性の発現はこれまでに例がなく、固体化学から溶液化学へと展開することで初めて得られた新しい物性である。 2.自己組織性を有するナノ粒子細線の開発 等方的構造を有する金属ナノ粒子に一次元自己組織化能を付与するため、(1)保護層と被覆層の二重層構造からなる新しい金属ナノ粒子を設計・合成し、(2)金属ナノ粒子一個の精度で制御されたナノ粒子細線を形成するための条件を明らかにした。金ナノ粒子の保護層としては、SH基を末端に有するフェノール、脂肪族アルコール、およびスルホン酸誘導体を、被覆層としては、カチオン性、アニオン性およびノニオン性の二本鎖型脂質を合成した。コンビナトリアル手法によって、ナノ粒子細線が得られる組み合わせを検討した結果、脂質末端とナノ粒子表面との適切な相互作用や混合比が重要であるなど、分子設計の基本指針を確立した。
|