研究課題
基盤研究(B)
仮名垣魯文の著作について、所在情報を含む著作リストの整理作成を行い、現在目録等で確認しうる魯文の全著作(233タイトル)のリストを完成させた。これに基き、横浜市立中央図書館・早稲田大学図書館・毎日新聞社新谷文庫・東京大学大学院法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター明治新聞雑誌文庫・三康図書館・初瀬川文庫等の調査を行い、新発見の稿本『春色柳桜筋』を含む164点の著作を調査し、その内59点をデジタルカメラにより全冊撮影した。また『佐世身八開伝』『滑稽道中膝車』『小夜中山夜啼碑』『英名八犬士』等の魯文の著作を11点購入した。これらのデータ・資料を国文学研究資料館が蓄積したデータ・資料と比較検討した結果、『西洋道中膝栗毛』『通俗那波烈翁伝』『魯文珍報』等何点かの著作・個人雑誌について、従来知られていなかった版種を確定した。これらの調査研究と並行して、魯文の動向を具体的に再構成するための基礎調査(仮名読新聞・東京絵入新聞・歌舞伎新報などからの記事のピックアップ)に着手した。また、国文学研究資料館のメンバーを中心とした月例研究会を7回、研究分担者全員による研究会を2回開催し、著作解題作成に向けた基礎事項の調整と、個々の著作に関する研究討議を行い、『童絵解万国噺』『倭国字西洋文庫』『高橋阿伝夜叉譚』『格蘭土氏伝倭文賞』『松飾徳若譚』『新板滑稽三太郎ばなし』等約50点の著作について解題の基礎稿を分担して作成した。