研究課題
研究会を6回開催し、参加者による討議を行う中で、『雨夜鐘四谷怪談』『江之嶋詣栗毛後馬』『義経蝦夷軍記』『男伊達花川戸』『日蓮上人御一代記』『甲越川中島軍記』など仮名垣魯文の著作22点に関する解題を分担作成した。このことにより、これまでその存在がほとんど知られていなかった江戸の菓子屋の配り本『福和内笑門新舖』をはじめ、従来研究の対象とされてこなかった魯文作品の分析を行うとともに、並行して進めた成田仏教図書館など各地の図書館・文庫に所蔵される魯文著作の調査、及び画譜・絵手本・端唄本・錦絵・引札などに残された魯文の序文・填詞などの調査とを合せ、魯文の多様な著述活動の全容解明へ向けた研究を前進させた。これらの研究により、『西洋道中膝栗毛』『胡瓜遣』『西洋料理通』『安愚楽鍋』などの一連の開化期戯作を万笈閣・誠之堂から出していった時期の魯文の動向を、北門社や横浜毎日新聞との関連を視野に入れつつ具体的に跡づけることが可能となったことは、文学のみならず今後の明治初期の文化状況の研究にとって重要な意味をもつことになろう。また、本課題の研究開始とともに開始していた『仮名読新聞』掲載記事からの魯文関連記事のピックアップとデータベース化、及び日本国内における魯文著作の所在情報のデータベース化を終了し、魯文を中心とした明治初期戯作研究のための基礎情報を整備した。これらを踏まえ、本課題において作成を続けてきた魯文の著作解題の推敲を分担者により行い、それらを集成して報告書としてまとめる作業を行った。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
相愛大学研究論集 24
ページ: 19-38
国文学研究資料館紀要国文学研究篇 34
ページ: 141-176
日本文学 652
ページ: 26-35