研究課題/領域番号 |
16320040
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
福田 育弘 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70238476)
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研究分担者 |
神尾 達之 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60152849)
桑野 隆 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90143677)
後藤 雄介 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教授 (60296374)
高橋 順一 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80206812)
原 克 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (40156477)
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キーワード | 飲食 / 身体 / 表象 / ワイン / 排泄 / 嘔吐 / テクノロジー / 喰人 |
研究概要 |
昨年度に引きつづいてポストモダン・ポストコロニアルにおける飲食のあり方が、食べ方や調理法、テクノロジーの介在の仕方、飲食物や飲食行為にかかわる感性や価値観といった広義の意味での飲食のソフトウエアとの関連で、食事という行為が複合的な様相をもった複雑な文化的行為であり、さらには近代人のアイデンティティの破壊と構築とにかかわるものであることが考察された。全体として、急速なグローバリゼーションの流れのなかで、食材という飲食のハードウエアが全世界に広まっているが、その一方で地域性にねざした食べ方や調理の仕方といったソフトウエアが意外に根強く残存していることが明らかになった。ハードのグローバル化は、残存する飲食ソフトによって変容させられてはじめて受け容れられること、またハード的な側面が強調されがちなファーストフードも効率・均一・安価といった価値観、つまりソフトにささえられており、さらにそれに各地域で付加的な価値がついて受容されていることが明らかになった。福田育弘の行った飲食ソフトによる食卓の変容に関する研究は、フランスと日本を比較しながら、このような視点で飲食行為におけるソフトウエアの重要性を考察したものである。原克は、テクノロジーがポピュラーサイエンスという仲介項をへて飲食行為もふくめた生活文化を変容させることを明らかにした。そして、このポピュラーサイエンスとは、各種メディアを通して普及した生活文化全般のソフトウエアにほかならないのである。また、高橋順一による政治的な機構が飲食に与える影響力と飲食自体の政治性の考察、桑野隆による、スターリン時代の美術における飲食の表象の検討、後藤雄介によるラテンアメリカにおける喰人の表象の分析、神尾達之による嘔吐に関する表象の考究も、飲食において広い意味でのソフトウエアがいかに重要であるかを示す研究である。
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