研究課題/領域番号 |
16330098
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
蘭 信三 京都大学, 国際交流センター, 助教授 (30159503)
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研究分担者 |
高野 和良 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (20275431)
山本 かほり 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (30295571)
倉石 一郎 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10345316)
城 達也 大阪経済大学, 人間科学部, 教授 (70271608)
松浦 雄介 熊本大学, 文学部, 講師 (10363516)
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キーワード | エスニック・マイノリティ / 社会参加 / 国民国家 / 社会統合 / 中国帰国者 / 帰還移民 / エスニック移民 / 脱植民地主義 |
研究概要 |
本年度は日本におけるエスニック・マイノリティの代表である中国帰国者についての研究を練り上げる一方で、その他の国々におけるエスニック・マイノリティの研究を引き揚げ者という視点から展開しつつある。(1)中国帰国者に関する研究としては、中国残留日本人の記憶の語り関する研究を蘭等がすすめ、「中国残留日本人の記憶の語り」としてまとめ、山本有造編『満洲・歴史と記憶』京都大学出版社(近刊)に所収された。(2)中国帰国者の研究の一環として、日本帝国をめぐる人口移動を考察する論集を刊行した。この論集は、日本帝国内外での戦前期の人口移動を対象としながらその戦前戦後の状況に迫るものであった。この論集から、帝国崩壊後の引き揚げをめぐる諸相が明らかにされた。(『日本帝国をめぐる人口移動の諸相・研究序説』科研費中間報告書、研究代表・蘭信三、2006年2月)(3)エスニック・マイノリティの国際比較研究に関しては、中国帰国者を中心としながらも『アジア遊学』85号に本研究チームを中心として特集号を組んだ。そこでは中国帰国者の戦前戦後の状況を明らかにしつつも、70年代以降の日本での帰国後の社会参加と国民統合の問題を集中的に論じている。そして、フランスにおけるアルジェリアからの引き揚げ者であるピエノワールを松浦が、ドイツにおける東欧・旧ソ連圏からのエスニック移民を城が、韓国における在韓日本人妻を山本が事例として、植民地との関連を持つエスニック・マイノリティの社会参加に関して集中的に論じた。最後に、エスニック・マイノリティの社会参画の促進と排除が、同時に国民国家の社会統合はマイノリティのアイデンティティにどのように作用するかが今後の課題となった。
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