研究課題/領域番号 |
16330109
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
宮島 喬 立教大学, 社会学部, 教授 (60011300)
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研究分担者 |
佐久間 孝正 立教大学, 社会学部, 教授 (80004117)
イシカワ エウニセ 鹿児島国際大学, 国際文化学部, 助教授 (60331170)
坪谷 美欧子 横浜市立大学, 商学部, 助教授 (80363795)
田房 由起子 立教大学, 社会学部, 助手 (20350291)
加藤 恵美 日本学術振興会, 特別研究員
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キーワード | 日系南米人 / 不就学 / エスニック学校 / デカセギ型就労 / ブラジル人学校 / 家族 / 母語喪失 / 親子コミュニケーション |
研究概要 |
本年度は、外国人児童生徒の日本の学校への就学率を、地方自治体ごとに把握するとともに、率の低いいくつかの自治体において外国人家族の就労パターンがどうなっているかを聞き取りで明らかにし、数家族には子どもの教育についての考え方を直接インタビューによってたずねた。 その結果、次の諸点が明らかになった。 1.一般的傾向として、日系南米人の多住自治体においては子どもたちが日本の学校に在籍する率が低く、就学率は50〜60パーセントという所が少なくない。他方、「ブラジル人学校」「ペルー人学校」のような新タイプのエスニック学校に通う者も地域によっては15〜20パーセントに達している。 2.南米人の家族においては、父母ともに朝早くから夜の8時、9時まで目一杯働くデカセギ型の就労がおこなわれており、子どもとの接触時間はいちじるしく減少している。また、子どもの母語喪失のために親子のコミュニケーションが困難になっている家庭も少なくない。 3.数家族へのインタビューによって、子どもの教育に十分な関心、配慮を示す余裕がないこと、子どもの将来に不安を感じつつ、帰国の見通しももてないこと、その結果、子どもの退学⇒早期の就労という行動もやむをえないとみなしていること、が明らかになった。しかし、数家族への調査なので、一般化するのは危険であろう。 4.ブラジル人学校などエスニック学校は、一部の親によって強く求められており、子どもの母語喪失やアイデンティティの希薄化への危惧が強いことが推測された。しかし、エスニック学校に子どもの将来を託して問題がないと感じている親も少なく、種々問題があることがうかがわれた。
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