研究課題
基盤研究(B)
廃塩ビは加熱・脱塩素工程を経たのち製鉄用コークスとして、あるいはプラント用固体燃料として利用されている。一方、脱塩素工程で排出される塩化水素ガスは、排ガス中に生石灰や消石灰を噴霧することで塩化カルシウムとして固定され、そのまま埋め立て処理に供されているが。本研究はこの塩化カルシウムから塩素ガスを回収し、化学工業用原料としての再資源化を可能とする技術開発を目指すものである。本研究で対象とする反応は「2CaCl_2+O_2=2CaO+2Cl_2」であるが、この反応は典型的な吸熱反応であり熱力学的にはほとんど進行しない反応である。そこで、この反応の熱力学的制約を打破するため、以下の2点について検討した。(1)酸素の供給速度を大きくして、生成した塩素ガスを速やかに系外に流出させる。(2)シリカを添加し、生成した酸化カルシウムを珪酸カルシウムとして系外に除去する。その結果、酸素の供給速度を大きくするほど反応の進行が促進されるが、あまりにも大きくしすぎると、かえって反応の進行を阻害することを確認した。本実験に用いた条件下では150ml/min程度が最適であるという結論を得た。また、シリカを添加することにより、生成した酸化カルシウムが珪酸カルシウム(Ca_2SiO_4)として固定されることをXRDにより確認した。酸化カルシウムが固定されることにより酸化カルシウムと塩素ガスによる逆反応が抑制され、塩素ガスの発生速度や発生量が著しく改善できた。3.0gの塩化カルシウムに同量のシリカを添加し、150ml/minの速度で酸素を供給することで、反応温度900℃において、塩化カルシウム中の塩素分の約80%を塩素ガスとして回収することに成功した。この成果を特許出願するとともに、学術誌や商業誌に発表した。また、石油学会やプラスチック化学リサイクル研究会などでも発表した。
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PETEROTECH Vol.27, No.3
ページ: 210-212
ケミカルエンジニアリング (印刷中)
Ind.Eng.Che., Research Vol.42, No.24
ページ: 6040-6045
触媒 45巻、8号
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