研究分担者 |
石井 尊生 神戸大学, 農学部, 助教授 (20260648)
森 直樹 神戸大学, 農学部, 助教授 (60230075)
吉田 晋也 兵庫県立農林水産技術総合センター, 部長(生物工学担当)付, 主任研究員
池上 勝 兵庫県立農林水産技術総合センター, 作物部・酒米試験地, 主任研究員
中村 千春 神戸大学, 農学部, 教授 (10144601)
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研究概要 |
1.「兵庫北錦」×「北陸142号」,「兵庫北錦」×「日本晴」および「山田錦」×「レイホウ」に由来する組換え近交系集団を用いて,酒造好適性に関連する玄米形質(心白発現率,粒大など)と生育関連形質(稈長,出穂期など)に関する遺伝様式を解析した。また,「兵庫北錦」×「北陸142号」の組合せについてはF2およびF5世代でマイクロサテライトマーカーによる連鎖地図を作成し,玄米形質に関するQTL解析を行った。その結果,心白発現率,粒重,粒長に関系する効果の大きいQTLが両世代でほぼ同じ染色体領域に検出された。 2.「山田錦」と「レイホウ」の開花後10日目の胚乳組織からmRNAを抽出し,SAGE (Serial Analysis of Gene Expression)法によって胚乳で発現している遺伝子の種類と量を網羅的に解析した。その結果,品種間で発現量の異なる遺伝子がいくつか検出された。これらと既知遺伝子との相同性検索を行ったところ,「山田錦」に特異的に発現すると推測される遺伝子の多くは未知の新規遺伝子であった。また,13kDa-プロラミンタンパク質をコードする遺伝子のうちの一つが「山田錦」ではほとんど発現していないのに対し,「レイホウ」では比較的多量に発現していることが示唆された。 3.酒米および食用米品種の合計184品種を用いて,全ゲノムのAFLP分析,核ゲノムならびに葉緑体ゲノムのSSLP分析によるフィンガープリンティングを行ったところ,ほとんど全ての酒米品種は単一のクレードに属し,とくに酒米在来品種の遺伝的多様性は非常に低いことが判明した。また,DNAマーカーによるフィンガープリンティングにより,184のイネ品種をほぼ全て識別することが可能となった。さらに,解析したDNAマーカーの中に,心白発現率など酒造好適性に関速する形質との間で連鎖不平衡を示すものが見いだされた。
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