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移行タンパク質(MP)は、タバコモザイクウイルスの感染した細胞内で、感染後4-14時間ほどの枠内で合成される。MPがウイルスの移行に関わる機構を探るために、GFPタンパク質と融合したMPを発現するウイルスを作成し、このウイルスの細胞間移行能を確認した。今回プロトプラストでの感染系から、実際に植物体の葉への感染を行い、感染中心の細胞を探し当て、その細胞内でのMP:GFP融合タンパク質の挙動を観察した。すると、感染後14時間で、細胞内にVMCと名付けた構造体を形成すること、そのVMCが膜上を移動する様が観察された。その動きは、感染後16-20時間と経過するにつれ、緩やかになる。感染後20時間には動きが止まるように見えるが、その時点でVMCは原形質連絡上にあるようにみえる。そしてそのうち一部のVMCが原形質連絡に入り込む形で通り抜け、ついには反対側の細胞へと移行する様がとらえられた。このようにして、ウイルスの細胞間移行を初めて可視的にその瞬間をとらえることができた。このあと、2次感染細胞では移行してきたVMCがすぐに速い動きをしめし、ここから4時間ほどの時間枠をつかって再度原形質連絡へ落ち着く様が観察された。こうして、最初の細胞では20時間を要した移行前のステップであるが、2次細胞、3次細胞以降はおおよそ4時間の間隔で周囲へと移行する様がうかがえた。こうした細胞レベルでの細胞間移行のさまがとらえられたことで、今後のウイルス抵抗性を考察する上で重要な知見を得ることができた。
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