研究概要 |
植物の光シグナル伝達因子の同定とシグナル伝達ネットワークの解析を目的として以下の研究を行い新たな知見を得た。 1.シロイヌナズナグアニル酸シクラーゼ(AtGC1)欠損変異株の解析 AtGC1欠損変異株の表現型と組織中のcGMP含量を野生株と比較したが差は認められず、AtGC1が植物体内で真正のcGMP合成酵素として機能していることを支持する結果は得られなかった。 2.三量体Gタンパク質αサブユニット(Gα)とGIP1の相互作用解析 昨年、シロイヌナズナGα(GPA1)のエフェクター候補として単離した完全長のGIP1(GPA1 interacting protein1)とGPA1を大腸菌に可溶性タンパク質として発現・精製した。GPA1とGIP1の相互作用を検討し、GIP1の酵素活性がGPA1により強く阻害されることを明らかにした。 3.cGMPによって発現が調節されるダイズフラボノイド合成系酵素遺伝子の解析 ダイズSB-P細胞を用いるノーザン解析の結果、多くのフラボノイド合成系酵素遺伝子の発現がcGMP,NO,細胞の光照射で誘導された。薬理学的方法によりこれらの遺伝子発現を上位調節しているシグナル伝達経路を解析し、既報のフィトクロームシグナル伝達のcGMP経路に類似していることを明らかにした。 4.紫外光によって発現が調節される遺伝子のプロモーター解析 ダイズELIP遺伝子のプロモーター中のBoxII様配列に結合するダイズGT1遺伝子(GmGT1)をクローニングし、大腸菌で発現・精製した。GmGT1のELIPプロモーターへの結合を確認中である。
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