研究課題
基盤研究(B)
植生班:ダイズの子実収量は化学肥料区より堆肥区で高く、初期の根粒着生数も堆肥区で著しく多かった。しかし、堆肥区では土壌中および浸透水中の無機態窒素が高かったことから、堆肥連用は根粒着生の面で有利に作用し、窒素供給を持続して総乾物重を増大させる反面、窒素の溶脱を多くすることが示唆された。堆肥区の方が化学肥料区より除草剤の効果が劣ることが判明し、除草剤の分解・無効化と土壌微生物の関係を調査している。土壌班:管理法の異なる土壌を用い、β-グルコシダーゼ活性を比較した。減耕耘区では、耕耘区と比べて有意に高い活性が認められたほか、耕耘区では化学肥料施用区よりも堆肥施用区で活性が高かった。今後他の酵素についても調査する。土壌生物班:今年度は畑作試験圃場における土壌原生動物の内、せん毛虫類とべん毛虫類の密度と種構成について微生物バイオマスとの関係を中心に調査した。せん毛虫類は土壌細菌バイオマスの推移と同様の推移を示したが、べん毛虫類は必ずしも細菌バイオマスと連動していなかったので、今後は植物根の分布との関係を調査する。せん毛虫については分類が確立されているので種の同定を進めているが、べん毛虫については分類法が未確立の状況にある。土壌線虫と土壌中の有機物量、作物根量との関係を調査し、植物寄生性線虫、自活性線虫ともに有機物量および根量と正の相関を示すことが明らかとなった。ただし、植物寄生性線虫の方が、自活性線虫よりも作物根量との相関が低かったことから、根量ではなく根の表面積や成長点数との相関を調査する。動物生化学班:オサムシ科昆虫のエゾカタビロオサムシ(Campalita chinense)の自己防御物質から鱗翅目害虫の触角電位に反応を誘導する物質を見いだし、野菜栽培圃場における揮散施用試験を経て、鱗翅目害虫に対する忌避剤として特許出願した。
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