研究課題/領域番号 |
16405034
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
苅和 宏明 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (70224714)
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研究分担者 |
高島 郁夫 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30002083)
有川 二郎 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10142704)
吉松 組子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90220722)
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キーワード | ウエストナイル熱 / フラビウイルス感染症 / ハンタウイルス感染症 / 病原性 / 診断法 |
研究概要 |
本研究では、近年国内外で問題になっているウイルス性人獣共通感染症のうち、侵入または流行の危険性があり、重篤に経過し致死率が高いウエストナイル熱とハンタウイルス感染症について、新たに診断法の開発や病原性の解明に関する研究を実施して以下の成果を得た。 1)ウエストナイル熱の病原性発現機構の解析:米国ニューヨークで分離された強毒ウイルス株をプラッククローニングし、大型プラックと小型プラックを形成する変異株がそれぞれ2株ずつ得られた。これらのウイルス遺伝子の全塩基配列を決定して比較したところ、大型プラックを形成する株のみEタンパク質に糖鎖が付加されていた。さらにこれらの株をマウスに皮下接種すると、大型プラックを形成する株ではマウスに致死的な脳炎を引き起こすのに対し、小型プラックを形成する株を接種したマウスはほとんど死亡しなかった。したがって、エンベロープ上の糖鎖の付加がウエストナイルウイルスの病原性の発現に重要であることが示唆された。 2)げっ歯類におけるハンタウイルス感染症の診断法開発:ハンタウイルスの定量的検出法として、ヌクレオキャプシド蛋白質(NP)を標的とした抗原検出用ELISAとウイルスのS遺伝子を標的としたReal-time PCRを開発した。さらに、4週令のシリアンハムスターにPuumala型ハンタウイルスを皮下接種し、抗原検出ELISAとReal-time PCRを用いてハムスターの肺におけるウイルスの増殖様式を解析した。感染14日目にウイルス抗原とウイルスRNAがピークに達し、抗体の上昇する28日目以降はウイルス抗原は検出されなくなるものの、ウイルスRNAは3日目から70日目まで継続して検出された。以上の成績から、シリアンハムスターはPuumala型ハンタウイルスに感受性であり、ハンタウイルスの実験感染動物として有用であることが明らかになった。
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