研究課題/領域番号 |
16405034
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
苅和 宏明 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (70224714)
|
研究分担者 |
高島 郁夫 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30002083)
有川 二郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10142704)
吉松 組子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (90220722)
|
キーワード | ウエストナイル熱 / ウエストナイルウイルス / 野鳥 / ハンタウイルス感染症 / ハンタウイルス / げっ歯類 / 疫学 |
研究概要 |
本研究では、日本国内に侵入または流行の危険性の高いウエストナイル熱とハンタウイルス感染症について、診断法を開発するとともに、疫学調査を実施した。 1) ウエストナイル熱の診断法開発:ウエストナイルウイルス感染の日本への侵入を監視するため、抗ウエストナイルウイルス抗体の検出法として微量中和法や阻害ELISA法を開発した。 2) ロシア国内で捕獲された鳥類におけるウエストナイルウイルスの感染調査:ロシアウラジオストック近郊のハンカ湖とハバロフスク北部のアニュイ川河畔で捕獲された98例の鳥類の腎臓からReal-time PCRによりウエストナイルウイルスの遺伝子検出を行ったが、いずれの検体からもウイルス遺伝子は検出されなかった。しかし、微量中和法により血清の得られた91例中うち15例から抗ウエストナイルウイルス抗体が検出され、極東ロシアで野鳥においてウエストナイルウイルスの感染のあることが示唆された。極東ロシアからは日本に渡り鳥が多数飛来することから、今後わが国におけるウエストナイル熱の防疫体制の強化が強く望まれる。 3) メキシコのげっ歯類におけるハンタウイルス感染症の疫学調査:北アメリカ産ハンタウイルスのS遺伝子を標的としたRT-PCRによる遺伝子検出法を開発した。そこでメキシコ国内で捕獲されたげっ歯類213例の肺からRNAを抽出し、RT-PCRによりハンタウイルス遺伝子の検出を試みたところ、21例からウイルス遺伝子が検出された。これらの遺伝子の検出された個体の21例中19例では抗体も検出された。したがって、これまでハンタウイルスの流行が明らかにされていなかったメキシコにおいて、げっ歯類にハンタウイルスが感染していることが判明した。
|