研究課題
基盤研究(C)
遺伝子組換え動物作製効率向上のために振動型マイクロインジェクション法(VM)を考案し、その有用性を評価した。本法はマイクロピペットへの縦振動付与によって細胞内刺入および遺伝子導入を容易にすることを目指す。1号機VM装置(可聴域振動付加タイプ)を開発し、無振動の従来型マイクロインジェクション法(OM)を比較対象として、マウスの受精卵でその有用性を評価した。導入DNAはVenus遺伝子、マウスはBDF1を使用し、種々の周波数および振幅で評価した。周波数10kHzの結果を例示する。1.マイクロピペット刺入時の受精卵変形率(刺入し易さの指標)はVMの方が有意に小さく、受精卵への刺入が容易であることが判った。2.前記操作後の卵の発生状況を培養液中で4日間観察した結果、操作卵が胚盤胞期まで成長する比率はVMが有意に高く、OMの2.9倍(821269vs281269)であり、発生状況が有意に良好であった。さらに胚盤胞のVenus発現率もVMの方が有意に高く、OMの2.5倍であった。しかし死亡率はVMの方が若干高い傾向にあった。3.インジェクションの最中にピペットが核DNAを引きずり出し、卵を死亡させる'核引き現象'の頻度を比較すると、VMの方がOMより有意に少ないことも判った。これは、1本のピペットでより多くめ卵操作ができること、ピペット交換の手間も少なくなることを意味し、VMはインジェクション作業の時間効率向上やコスト削減に寄与することも判った。4.超音波縦振動(<=100kHz)を付与できる装置を開発した。超音波振動に起因する細胞傷害の懸念(cavitationや核DNA断片化など)があるため、まず安全性評価を行った。OMを対照として評価した結果、死亡率はVMの方が有意に低く、胚盤胞期進展率も有意に高かったので、超音波振動に起因する細胞傷害は無視できることが判った。
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