本研究の目的は、現象学的観点から身体観の成立過程を分析・解釈し、明示することである。特にドイツ・イギリスおよび日本において身体観がどのように異なっているのか、その身体観に国民性があるのかどうか、しかもその身体観は生活の中でどのように成立するのかを比較検討し、生成過程を究明をする。本年度は3年計画の2年目である。昨年度に調査項目の推敲を終えたので、具体的な資料を収集し、成立過程のモデルを洗練させることが本年度の目的でなる。 本年度は昨年度のドイツでの討議および収集した資料をもとに、ドイツ人が抱く身体観の生成図式およびその独自性を仮説として立て、第6回日独スポーツ科学者会議(9月19〜21日:イエナ大学)において「身体観の成立要因-日独の差異を手がかりにして-」を発表し議論した。滞在中、ドイツ人の抱く身体観についてさらなる情報を収集した。また、ドイツケルン体育大学の学生に対するアンケートを依頼した。会議後イギリスに渡り資料を収集した。その際、スワンジー大学健康科学部スポーツ倫理学・哲学専攻のマイク・マクナミー博士と面談し、身体観について話を伺い、併せて学生のアンケートをお願いした。階級差、地方差があり、イギリス人の統一して身体観は無いのではないかとの示唆を得た。しかし、職人文化のあるドイツとは違いがあるのではないかという話もあった。 日本国内のアンケート結果からは地方差と専攻の差(体育専攻学生と一般学生)が出ている。現段階では、イギリスとドイツではそれぞれ1校の専攻学生を対象としたアンケートのみなので、それらと日本の専攻学生と比較検討して最中である。すべての国でマスコミによる影響が強く出ているが、それ以上に男女差の大きい成立要因が見られる。
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