研究課題
本研究は16年度追加交付決定(10月)を受けた後に開始したため、当初16年度実施計画で予定した多人数の被験者(ボランティア)を募っての日常身体活動の解析は実施にいたっていない。本年度は次年度以降の研究実施を効率よく進めるためのシステム整備とMRI画像からの腹部脂肪面積計測方法の確立にあてた。これまで得られた主な点は以下に要約した。MRI画像からの腹部脂肪面積計測計測方法:健康な男性27名(平均51歳)を対象とし、MR画像撮影装置(日立メディコ社製、MRH-500AD、0.5T)により10mm厚の連続断層画像を撮像した。腹部のT1強調像をパソコンに取り込み、NIH imageを利用して皮下脂肪面積と腹部内臓脂肪面積を計測した。MRを用いた腹部脂肪分布評価法にはいくつかの問題点が指摘されているが、基本的に善積ら(2003)の方法に従った。すなわち、皮下脂肪部分のsignal intensityヒストグラムを利用して、腹部内臓部分の同等のsignal intensityを示す範囲を内臓脂肪としてその面積を計測した。測定結果:27名の臍部での平均は皮下脂肪面積128cm^2、腹部内臓脂肪面積93cm^2であった。皮下脂肪の断層別最大値は臍より下方3cmに、腹部内臓脂肪の断層別最大値は膀より上方6cmに見られた。体表での身体計測値とMRによる脂肪面積計測値との相関皮下脂肪も腹部内臓脂肪も、臍周囲径、BMI、体脂肪率の順に優位な相関関係が認められた。従って、臍周囲長は腹部内臓脂肪の蓄積を伺う非常に有効な指標と考えられた。一方、内臓脂肪との相関があるとされている腰周囲長/臀部周囲長は優位な相関は見られなかった。