研究概要 |
昨年に続いて,鳥取砂丘で地質ボーリング調査(B6)を実施した。本調査では,「鳥取砂丘の地下に埋没する古千代川の谷」の存在を確かめることはてきなかった。B6は,天然記念物鳥取砂丘の西部で,砂丘地に設置された杭番号のI3とI4の中間点,B1ボーリングから内陸(南)側に約120mの地点である。2001年に実施された比抵抗2次元電気探査の結果から,埋没谷の存在が推定された位置に相当する。 B6の標高は53.7mで,掘削深度42mまでは新砂丘砂,42m〜58m深では砂か赤褐色を呈しボーリング掘削用循環水の浸透量が減ったことから,古砂丘砂であると判断した。特に52m前後には,赤味の強い砂層が存在した。58m以深では赤味は薄れたものの69mまでは変わりなく細砂が続いた。69m〜73m深では中砂が卓越した地層となり,73m〜74.6m深にかけては細砂混じりの粘土層,74.6m〜76.4m深では暗灰色のシルト層であった。シルト層の上部には植物片を多く含んでいた。74.6m深で,凝灰岩の基盤へと着岩した。100.8mまで掘削したものの,淡褐色に風化した層準と灰白色で新鮮な層準とが繰り返す凝灰岩であった。基盤深度は,鳥取砂丘の地下に推定される海側一様傾斜の平滑岩盤で予想される深度に一致した。下流側のB4で発見された古千代川の円礫層と,上流側のB5で確認された埋没谷をつなぐ流路の位置が分からなくなった。 日本各地の砂丘巡検に関しては,本年度は九州の砂丘を調査した。シラス台地との関連でどのような砂が海岸にもたらされ砂丘を形成しているかをテーマとした。鳥取砂丘の砂と比べ,シラス起源の砂は灰色味が強く,細砂分が少ない。試料の分析は今後の課題である。また地形図を用いて,日本各地の砂丘の地形計測を実施した。横列砂丘と放物型砂丘とで,砂丘の体積増加に伴う砂丘奥行の増加率が全く異なる傾向を示すことが明らかになった。
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