1.テキストデータによる用例の収集 新聞CD-ROM、文学作品CD-ROM、及びインターネットなどの機械可読データを購入・利用し、本課題で問題とする非項的空所を持つ節の例文を網羅的に収集した。「茶筅」などの自動品詞分解ソフトも利用しながら、「前、後、右、左、半分、倍、量、程度」などの相対的名詞や「ほど、だけ、ばかり、ため、‥」などの形式名詞が使われている文をピックアップした。 2.データの整理・分類 上記の作業によって得られたデータを整理した。研究補助者の協力のもと、タグ付けし、非項的空所の意味的なパターンを抽出し、そのパターンをもとに基本的な分類作業を行った。より理論的な分類は次年度以降の課題となった。 3.データベースの分析 既に基本的な分析が済んでいる「分」という関数的性質を持つ名詞について、分析を加え、研究会で口頭発表を行なった。「分」の持つ基本的な性質が文法化によって拡大し、より抽象的な副詞的用法につながったと分析した。特に「程度」の意味解釈を「値と値の対応関係」として分析することが可能であることが示された。来年度には論文としてまとめられる予定である。また、「範囲」を表す「うち」についても分析を加え、口頭発表を行なった。従来気づかれてこなかった「主部内在型関係節」の用法があることを指摘した。こちらの内容も来年度には研究論文としてまとめられる。
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