研究課題/領域番号 |
16520349
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
唐須 教光 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (50102017)
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研究分担者 |
井上 逸兵 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (70213147)
須藤 路子 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (60226587)
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キーワード | 異文化 / 言語学習 / 英語 / コンテクスト化 / コードスィッチング / 言語習得 |
研究概要 |
異文化コミュニケーション状況におけるコンテクスト化のいくつかの側面について調査、考察を重ねた。まずひとつに、バイリンガル環境にある幼児の言語習得である。事例の両親は、夫婦間では英語でコミュニケーションするが、子に対してはそれぞれの母語(父は中国語と母は日本語)をもちいて子に語りかけていた。すなわち、家庭内では親が直接、子に英語で語りかけることはなかった。ところが、保育園就園とほぼ同時に事例の子は英語を話し始めた。一般に、ビデオやテレビ番組による聞くだけの入力は言語習得を促さないとされているが、両親の会話は自分に関わるものとして入力されていたことが考えられる。すなわち、自分に関わるものとしてコンテスト化することによって、言語習得が促されると推察できる。また、対話者に応じた言語の使い分け(コードスィッチング)の能力も加味して考えうることに、言語の理解や産出は高度にコンテクスト化の経験や能力と関わっていることがうかがい知れる。第二の側面は、日本人の英語学習者のリスニング能力とリーディング速度、さらにはスピーキングの熟達度との相関である。それぞれの技能においてコンテクスト化の能力が大きな要素になっていると考えられる。第三の側面は、非言語情報によるコンテクスト化のプロセスである。カメラ、ビデオ等を用いて、顔の表情、手振りや姿勢がコンテクスト化の働きをしていることを明らかにした。ただし、それは異文化の環境においては容易なことではないが、コンテクスト化の能力に比例して異文化コミュニケーションの能力が高まると考えられる。
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