17年度は、秋田県由利本荘市立岩城中学校の3年生と対象とし、以下の調査を行った。 (1)6月と11月の2回、英語授業の観察と記録(各1週間) (2)英語や英語学習に対する心理状態を探るため、12月にアンケート調査を実施 (3)校外学力テストのデータの入手 対象生徒は、小学校で4年生時から3年間、週一回の英語技能訓練を受けて15年4月に中学校に入学し、18年3月に卒業している。比較のため、新潟県の公立N中学校でも同学年を対象に、授業訪問とアンケート調査をほぼ同時期に行った。富山県の公立K中学校でも同様の調査を行ったが、学校の事情で、1つ下の学年に対象を変更し、学力テスト結果の開示は受けなかった。 アンケート調査は未集計だが、それ以外のデータについては考察を行った。岩城の生徒の特徴は以下に集約される。 ●英文音読時の様子から、英語の基本的な音韻パターンを体得していると思われる。このことがリスニング能力の高さを支えているのではないか。 ●学力テストの結果からは、大意を理解するのは得意だが、正確さを求められる場面や、意味と切り離された単文を機械的に解析するのが不得意、という傾向が見られる。しかし、総合力は高いので、不得意分野は今のところカバーされている。 ●授業中でも、学力テストでも、英語力が極端に高い生徒はいないが、極端に低い生徒もいない。 以上の特徴は、岩城の生徒が受けた小学校英語教育の特徴を色濃く反映していると言えそうである。 なお、調査終了間際に、生徒の教室外での英語コミュニケーションを記録する機会に恵まれた。岩城中学校生徒のアメリカホームステイ研修に同行することができたのである。参加したのは、本調査対象学年の1つ下(16年度入学生)12名であるが、実際に英語を使わなければならない状況で、どれくらいできるかをビデオ記録に残すことができた。これも今後、貴重な資料となるだろう。
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