研究概要 |
1)守護の在京支配機構の整備、在京-領国機構間の人事交流の研究 これまでの2年間の研究をふまえ、南北朝期後半における守護の在京支配機構の整備過程と、その後の守護支配における在京-領国機構間の人事異動の問題を守護在京制研究の焦点として取り上げることとし、これまで蓄積したデータをこの観点から整理し、考察を進めた。 その結果、貞治〜応安年間を嚆矢として、役夫工米や即位段銭の徴収、寺社本所領対応の業務を進めるために各守護家において在京奉行人が登場すること、在京奉行人・守護代と在国奉行人・守護代との間に人事交流が行われること、守護代が在国と在京を繰り返すことが明らかとなった。ただし、在京・在国支配機構とその運用にいては、守護家によってかなりの違いがあることも明らかとなった。 2)研究発表 当研究を進める過程で、義満が相国寺造営に際し守護を通じて諸国の寺社本所領から十分一役を徴収した事実が明らかとなった。これについて「相国寺造営役をめぐって」という題名で東寺文書研究会にて研究発表し、関係する研究者と意見交換をおこなった。 3)研究書の刊行 当研究の成果を取り入れた研究書『荘園制と室町幕府』を来年度中には刊行する見込みである,
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