研究課題
基盤研究(C)
児童および成人の広汎性発達障害の中核症状である自閉症スペクトラム傾向の個人差を測定する尺度として、Autism-Spectrum Quotient(AQ)の一般用と児童用の日本語版を作成し、標準化を行った。この検査では、その得点によって、児童・成人とも90%程度の精度で自閉症スペクトラム状態(ASC)群を定型発達群から識別することが確認された。また、定型発達群にも、一定の割合で自閉症スペクトラム状態に該当する児童が存在することも明らかになった。これらの結果は、自閉症スペクトラム連続体仮説や超男性脳理論を支持するものである。次に、Baron-CohenのE-S理論に基づくEmpathy Quotient(EQ)とSystemizing Quotient(SQ)の日本語版を作成し、これを定型発達群と高機能自閉症スペクトラム群を対象に実施して、その結果を比較した。その結果、EQでは、高機能自閉症群が定型発達群よりも得点が低く、SQでは、高機能自閉症群が定型発達群よりも得点が高かった。人の顔の目の部分の写真を使用して、目からその人の心的状態を推測する能力を測定する課題(Eye Task)と、素朴物理学的な理解能力を測定する課題を作成し、定型発達児と大学生を対象に実施した。その結果、Eye taskでは、児童、大学生とも女性の方が男性よりも得点が高く、素朴物理学課題では、年齢が上昇するほど得点が高くなるという結果が示された。最後に、自閉症スペクトラム群を対象に、Eye taskと素朴物理学課題を実施した結果、Eye taskの得点が年齢と知能を対応させた定型発達群より明らかに低く、素朴物理学では、両群の得点に違いは認められなかった。動画を使用した他者の心的状態を推論させる課題では、アナログASC群と年齢を対応させた統制群に対して、それぞれ2群に分けた上で、一方に心的状態の理解についての学習経験を与え、学習の効果を比較した結果、いずれの群とも明確な学習の効果は認められなかった。
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