研究概要 |
平成17年度は,携帯メールやインターネット(電子メール)といったコミュニケーション・ツールの使用が,社会的ネットワークや精神的健康に及ぼす影響についての調査を行った。携帯電話やインターネットは,生活に欠かせないコミュニケーション・ツールとなっているが,これらのツールは,対人スキルが低い人にとって相手と直接相互作用をせずにコミュニケーションすることが可能であることから,対人不安者は相手と直接会うことを避けるために,これらのコミュニケーション・ツールを使用しやすいと考えられる。しかし,形態やインターネットの使用が,直接的相互作用からの回避手段として機能するとなると,友人ネットワークの形成や維持が難しくなると考えられる。 本研究では,大学入学直後の新入生に対して,4月と7月にパネル調査を行い,対人不安と社会的スキルが友人ネットワーク数や精神的健康に及ぼす影響について検討した。相手に意志を伝える際に使用する手段として,対人不安が高く社会的スキルが低いと携帯メールを選択する割合が高く,対人不安が低いと社会的スキルにかかわらず直接相手に会うことを選択することが示された。対人不安が高くても,社会的スキルがあると,電話を用いる割合が直接あうこととほぼ同数になることがわかった。4月から7月にかけての社会的ネットワークの変化には,コミュニケーションの手段による違いがあり,対人不安が高く社会的スキルの低い人が,直接会うという手段を選択した場合,友人数の増加が少ないことがわかった。また,対人不安が高いと,コミュニケーション手段に関係なく,抑うつ傾向や怒り,引きこもり傾向が高く,生活満足感が低いことが示された。
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