研究概要 |
本研究では,対人不安における非対面型コミュニケーションと認知の歪みについて,以下の検討を行った。 (1)対人不安と非対面型コミュニケーション 対人不安と携帯電話による非対面でのコミュニケーションとの関係について検討した。その結果,対人不安が高く社会的スキルが低いと,非対面型コミュニケーション・ツールである携帯電話によるメール(携帯メール)を使用する割合が高いことがわかった。特に苦手な人とのコミュニケーションにおいて,その傾向が顕著であった。これは,携帯メールが嫌悪的な対人場面を避けることができるからだと考えられる。 (2)対面場面における非言語情報の解釈の歪み スピーチ中に相手の動作という非言語情報への気づきやその解釈に,対人不安による違いが認められるかの検討を行った。相手の動作への気づきに対人不安による違いは認められなかったが,対人不安高者は,相手の動作を否定的であると評価し,その原因が自分にあると見なすことがわかった。相手の動作という視覚的な非言語情報には回避的になること考えられる。 (3)対人不安と抑うつにおける自己注目と反すう 対人不安における自己注目と抑うつにおける反すうは,機能的に類似点が認められることから,自己注目と反すうの関連について検討した。自己注目と反すうには正の関連が認められ,しかも自己注目と反すうは,対人不安と抑うつのいずれとも正の関連が認められたことから,自己注目と反すうは機能的に類似していると考えられる。
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