研究概要 |
本研究が3年の研究期間にめざしたものは以下の3点である. ・英国における新教科「シティズンシップ」の目的や理念がテキストや学習プラン,教材にどのように具体されているかの理論的分析. ・授業としての「シティズンシップ」がどのように行われているか,上記のテキストや教材にどのように活用されているかの現状調査. ・上記の結果を批判的に摂取することを通したモデルカリキュラムの開発. 本年度は計画の最終年度(3年目)として以下のことを行った. ・これまでに収集したインタビュー記録,教材等の整理, ・理論研究のまとめと教材開発 ・英国シティズンシップ財団(Citizenship Foundation)発行の教師教育用ハンドブック「Making Sense of Citizenship」の翻訳, その結果,以下の成果を得た. (1)理論研究を通して ・シティズンシップ教育の基本となる政治理念は自由主義/個人主義・共同体主義・市民共和主義の3つであるが.英国におけるシティズンシップ教育は,自由主義/個人主義から共同体主義/市民共和主義へという大きな政治的な流れの中にある. ・シティズンシップ教育の理念は「活動的シティズンシップ」(active citizenship)として具体化されているが,「活動」の質は多様であり,そのとらえ方によってはその評価も大きく異なるものとなる. (2)教材分析,教材開発を通して ・理論研究に基づいて,公共性,メディア,国際理解,環境の視点から,「Scheme of Work」「This is Citizenship」のテキストを批判的に分析するとともに,グローバルシティズンシップ,環境シティズンシップを育成するための教材を開発した. (3)以上の成果に教師教育用ハンドブック「Making Sense of Citizenship」の翻訳を添え,最終報告書にまとめた.
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