研究分担者 |
兼田 正治 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (60204575)
河田 成人 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 助教授 (50195103)
加戸 次郎 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (10117939)
市野 篤史 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 助手 (40347480)
谷崎 俊之 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70142916)
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研究概要 |
階数2のシンプレクティック群GSp(4)に付随した次数4のオイラー積を持つスピノル・エル函数及びそれを楕円モジュラー保型形式でひねった次数8のオイラー積を持つエル函数を研究対象とした. 前者については,相対跡公式によって,その函数等式の中心における特殊値を,ベッセル・モデルの絶対値の二乗で表示しようというプロジェクトを推進した.相対跡公式成立の鍵を握る基本補題のヘッケ環全体への拡張については,マクドナルド多項式の理論を用いることによって,単位元に関する退化した軌道積分とベッセル・モデルに関する一般化されたコシュトカ数を求めることに帰着されることが解った.また,エル函数の特殊値を相対跡公式の一辺として拾い上げる方法として,ノボドボルスキーの積分表示に基づく別の軌道積分を用いる可能性についても考察した.この軌道積分自体の計算は他の軌道積分よりも容易であり,上述のマクドナルド多項式の理論ともうまく整合していることが解った.また,特殊値の明示公式としては,これまでの二つの相対跡公式よりも有用と思われることも解った.しかし,ディストリビューションの具体的な対応については解明することが出来なかった.これを解決することを直近の重要な課題として研究を継続している. 後者に関しては,階数3の準分裂ユニタリー群のアイゼンシュタイン級数を用いた積分表示について考察した.次数8のオイラー積を持つエル函数については,特殊値のピリオド部分が,ジーゲル保型形式と楕円保型形式の重さの相対的な関係によって,大きく変わると予想されている.我々の積分表示は,その事象を説明できる可能性を秘めていることを確認した.また,局所函数等式はベッセル・モデルの一意性と深く関連しているのだが,現在までのところ公刊された完全な証明は無いと思われるので,これを与える作業も開始した.
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