研究概要 |
平成16年度はテーマである代数曲線族の局所符号数のモジュライ論的考察に関連して以下のような進展を見ることができた。 (1)安定族に対しては井草保型形式・テータ零因子を用いる吉川謙一氏の方法が進展中であるが,新たにDeligne-Mumfordコンパクト化上のPicard群に関するHarris-Mumford公式が我々の状況に応用できるようになった。しかもこれは今野一宏氏が1999年に提示したClifford一般ファイバー空間での定式化とも直接関係している。現在、吉川氏と共同で,この方向をさらに追求している段階である。 (2)非安定族に対しては,安定環元に伴う行列式束の次数の変動項を,退化ファイバーのまわりに局所モノドロミーについてのNielsen-松本-Montosinos情報を用いて,明示的に表わす公式を得た。証明は正則Lefschetz固定点公式のorbifold版を用いる。このことと(1)をあわせて,局所符号数の問題に関して着実な進展を得ることができたと自負している。平成17年度もさらにこの線に沿って研究をすすめたい。
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