研究課題
前年度に本校が保有する小型船舶「さざなみ」のシステム化改修工事を実施した。この工事により、船首方位、指令舵角、実舵角の保針制御系信号を取り込むことが可能となり、また船体姿勢角を検出する光ファイバジャイロを搭載することで、船体運動信号も同時に収録できるようになった。さらに舵取機をコンピュータ制御することも実現した。このようにシステム化された「さざなみ」を使って各種の洋上実験を実施した結果、船体動特性に対する主機関回転数の影響が大きいため、追加改修工事を実施し、回転数データも航海データの一つとして収録できるようにした。その後、各種の回転数においてZ操縦試験や旋回試験を実施した。途中、船首方位信号出力のサーボ特性が適切でないことが判明したためSD変換回路を追加装備した。上記の作業終了後、指令舵角をランダムに操舵しながら指令舵角、実舵角、船首方位、ロール信号を収録する同定実験を洋上で行った。このようにして得られた実験データから、多次元自己回帰モデルと呼ばれる統計モデルを推定した。またこのモデルからスペクトル解析、インパルス応答解析、ノイズ寄与率解析を行って操舵と船首揺れ、横揺れとの関係を定量的に解析した。続いて解析結果を基にして、制御型多次元自己回帰モデルを構築し、スタビライジング型自動操舵装置を開発した。その効果を確認するため、風や波などの外乱を模擬する白色ノイズを使って、最適制御シミュレーションを行った。その結果、現用の操舵に比べて、より少ない舵操作量で船首方位、横揺れを共に減少させることができた。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
平成17年度電気関係学会北陸支部連合大会講演論文集
ページ: H-11
Proceedings of ICCAS (International Conference on Control, Automation, and Systems) 2005
ページ: 342-345
富山商船高等専門学校研究収録 第38号
ページ: 17-22