北部北太平洋におけるイカ類幼生の分布・豊度と初期生活史の解明することを目的としている。平成16年度の成果は以下の通りである。 北海道大学練習船「おしょろ丸」が行った二つの航海(5月8-21日;6月21日-7月26日)に乗船し、ボンゴネットとMTD(Motoda)ネットを用いて、北太平洋の165°Eと165°Wで頭足類幼生を採集した。採集した標本から頭足類幼生を選別し、100以上の個体を検査した。もっとも多い科はテカギイカ科だった。視覚で種類を同定することが出来ないサンプルは約20%だった。この種類を同定するため、遺伝子解析を行った。具体的には、PCR法(遺伝子増幅法)を用いた遺伝子検査によりCOIジーンを調べた。その結果、三つの形態型が判明しました。現在は3種の分布パターンを解析して、このパターンと海洋観測データ(水温・塩分・ADCP)における海流分布を比べている。(この結果は平成17年度日本水産学会大会で発表する予定です。) 平成16年10月のPICES(北太平洋における海洋科学の政府間機構)年次総会(ホノルル・アメリカ)に参加し、遺伝子解析の成果を発表した。平成17年の年次総会にも参加する予定です(会場:ウラジオストック・ロシア)。 平成16年5月の航海中にコウモリダコを採集した。コウモリダコが日本の近海で採集された例はほとんどなく、本研究においても重要な知見になると思われるので、論文を作成した。この論文はFisheries Scienceに収録される。
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