研究課題/領域番号 |
16580157
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
井田 齊 北里大学, 水産学部, 教授 (90050533)
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研究分担者 |
朝日田 卓 北里大学, 水産学部, 助教授 (00296427)
林崎 健一 北里大学, 水産学部, 講師 (80208636)
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キーワード | 霞ヶ浦 / アユ / 耳石 / 陸封 / 安定同位体比 / マイクロサテライトDNA / 形態 / 胃内容物 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続き霞ヶ浦水系のアユ集団に関して耳石日輪を用いた成長解析、マイクロサテライトDNAを用いた遺伝的解析、胃内容物の分析による餌環境の評価、ならびに形態の他集団との比較を行った。また、安定同位体を用いた餌の履歴の推定を検討した。これまでの研究で霞ヶ浦アユは冬季に成長が低下し透明帯とよばれる日輪を形成しない時期があることが明らかになっている。しかし、この期間の日数がわからないためふ化日ができず、成長解析が困難であった。まず、日輪を形成する部分において輪紋の読み取り精度の確認のため光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡による観察を比較検討した。その結果差異は見られず、光学顕微鏡による観察で問題ないことがわかった。また、透明帯の形成要因を明らかにするため、冬季の水温変化が異なった2000年級、2001年級の日輪間隔の計測値と対応する日付の水温の実測値とを比較した。水温が急速に低下する12月から1月にかけての期間において日輪間隔と水温には明瞭な負の相関が見られた。耳石輪紋間隔が1μm以下となると輪紋が見えなくなり透明帯を形成する。これより透明帯は水温により形成されることが示された。また、霞ヶ浦陸封アユが当該年度の放流によるものでないことを確認することが硫黄安定同位体分析により可能であると明らかとなった。 マイクロサテライトDNAを用いた遺伝的解析、胃内容物の分析による餌環境の評価、ならびに形態の他集団との比較においては、観察標本個体数を増やした。その結果、前年の傾向と大差は見られなかった。
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