1、昨年度に引き続き、中食(調理食品・惣菜)消費の実態を把握するために、電話帳でランダムに抽出した一般世帯と若者の代表である大学生を対象にした2つのアンケート調査データーをもとに集計・分析をおこなった。昨年は因子分析によって集計分析を行ったが、今年度はクロス集計によって作成した図表をもとにして分析した。 2.その結果、とくに昨年度にも指摘した中食消費動向の特徴として(1)従来の若年層に加え中年・壮年、高齢者層でも増加しつつあること、(2)いまだ若者のなかでも男性の利用が多いものの、女性の利用が次第に多くなり、OLや従来食材を調達して調理して食べていた家庭の主婦の利用も拡大していること、(3)こうした消費客層の多様化によって、中食(惣菜)の形態・質的な多様化が進み、それに伴って販売店舗もCVS、SM、独立店、駅中店、デパ地下店などと多様化も進んでいること、等々がより鮮明になってきた。 3.一方、中食・外食企業の原料野菜の調達やその経路に関する研究も昨年度に引き続き継続した。具体的には、「北海道における業務用野菜生産と前処理食材供給」、「農産加工品の製造・販売によるローカルフードシステムの再編」「農協による農産加工の実態と食材調達」等についての実態調査を実施し、一部まとめて報告している。 4.なかでも北海道調査では、(1)とくに大手の中食および外食企業の野菜食材の調達においては、ホールものは少なく前処理された食材の調達が多くなっていること、(2)業務用食材は数段階の前処理業を経て調達されていること、(3)例えばレトルトカレーやハンバーグの食材としてのたまねぎは、専門業者によってきざまれ、あるいはソテーに加熱処理されて全国の需要企業に供給されている実態が明らかになった。
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