研究課題
基盤研究(C)
硫酸化グリコサミノグリカン鎖は、様々な細胞増殖因子や細胞外マトリックス成分と相互作用し、細胞接着、増殖、分化、形態形成といった細胞活動を制御している。硫酸化グリコサミノグリカン鎖の機能発現生合成によって精密に調節されている。本研究では、以下の5つの内容を明らかにした。(1)重篤な進行性の脊柱後側弯症状や、脱臼を伴う重篤な関節炎を特徴とする常染色体劣性遺伝病であるspondyloepiphyseal dysplasia (SED) Omani typeの原因遺伝子が、コンドロイチン硫酸のGa1NAcの6位の硫酸化修飾を担うコンドロイチン6-0-硫酸基転移酵素-1(06ST-1)であることを見いだした。(2)線虫におけるコンドロイチンの合成を担うコンドロイチン重合化因子(cChPF)のcDNAをクローニングした。さらに、線虫のcChPFの発現をRNAi法で阻害すると、コンドロイチンの合成不全が生じ、線虫の初期胚において細胞質分裂が逆転し、細胞が多核化することを見いだした。従って、生体内でcChPFは、コンドロイチン合成酵素(cChSy)と共にコンドロイチンの生合成に必須であり、それらは単独ではコンドロイチンの合成が出来ないこと、およびコンドロイチンが線虫の初期胚の細胞質分裂に必須であることを明らかにした。(3)コンドロイチン硫酸鎖がヘルペスウイルスの受容体として機能し、特にコンドロイチン硫酸-Eと呼ばれる高硫酸化したタイプのコンドロイチン硫酸が、ウイルスとの結合に重要であることを明らかにした。コンドロイチン硫酸-Eは、以前よりヘルペスウイルスとの結合に関与すると報告されてきたヘパラン硫酸よりも低濃度でウイルス感染を阻害できることが判明した。(4)Drosophllaでは、ヘパラン硫酸鎖の生合成に関与する糖転移酵素遺伝子として、ttv、sotv、botvの3つがクローニングされており、これら3種類の遺伝子を同一細胞内で共発現させることにより、結合領域上にヘパラン硫酸鎖を重合させることができることを見いだした。(5)線虫における、硫酸化糖鎖の生合成に必須の活性硫酸(PAPS)の合成に関与するPAPS合成酵素遺伝子のcDNAをクローニングした。線虫のPAPSの発現をRNAi法で阻害すると、ヘパラン硫酸鎖の硫酸化の程度が減少し、筋肉や表皮の形態形成に異常が見られることを明らかにした。
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