研究課題/領域番号 |
16590890
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
加隈 哲也 大分大学, 医学部, 助手 (80343359)
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研究分担者 |
吉松 博信 大分大学, 医学部, 教授 (00166993)
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キーワード | レプチン / ストレプトゾトシン誘発インスリン依存性糖尿病モデルラット / 中枢性糖代謝改善 / インスリン / 糖新生 / 糖利用 |
研究概要 |
「レプチンは、その中枢性糖代謝改善作用だけで糖代謝を改善する」本年度はそのメカニズムを明らかにするため、ストレプトゾトシンにより誘発したインスリン依存性糖尿病モデルラヅドの第三脳室にレプチン持続注入する実験を行った。1、STZ糖尿病ラットにレプチンを中枢投与した群(STZ-LEP)では、インスリン値に変化なく血糖は完全に正常化した。また同レプチン量を末梢投与しても血糖の変化はなかった。2、STZ糖尿病ラットをSTZ-LEPの摂食量と合致させた群(STZ-PF)の血糖は全く改善していなかったので、STZ-LEPの血糖の正常化は摂食量に依存したものではない。3、STZ糖尿病ラットではインスリンが枯渇するため、肝臓において糖新生や糖輸送に関与するG-6-Pase、PEPCK、GLUT2の発現が亢進し、糖分解酵素であるGKの発現が低下していた。STZ-LEPでは、これらの遺伝子発現は非糖尿病コントロールラット群(CIT-SAL)と同等かそれに近いまでに回復した。4、STZ糖尿病ラットの骨格筋では糖輸送蛋白であるGLUT4の発現には変化がなかったが、UCP3、CPT1やM-FABPの発現は増加していた。すなわち糖利用の低下とそれに代わる脂肪酸利用の亢進が認められるが、STZ-LEPではそのアンバランスが改善していた。5、STZ糖尿病ラットの褐色脂肪組織ではGLUT4をはじめ、UCP1およびUCP3、LPL、HSL、CPT1の発現は全て低下していた。すなわち褐色脂肪組織は糖とともに脂肪酸の利用も低下させ、エネルギー消費を徹底的に抑制した状態を呈していた。STZ-LEPでは、これらの遺伝子発現はCIT-SALの状態に近いまでに回復した。以上の発現変化はSTZ-PFには認められないことから、摂食量の低下によるものではなくレプチンの中枢投与が直接に作用したものと考えられる。まとめると、中枢投与されたレプチンは摂食量や血中インスリン量とは無関係にSTZ糖尿病ラットの血糖を正常化できる。その作用は肝臓での糖新生や糖輸送蛋白の遺伝子発現の正常化と末梢臓器での糖利用の亢進によることが判明した。
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