【目的】要介護高齢者を在宅介護している家族の生活安定度を測定する尺度の暫定版から最終項目を選定し、信頼性・妥当性を検討することを目的とした。【方法】1.対象:首都圏に所在する訪問看護ステーションを利用している65歳以上の高齢者を在宅介護する家族とした。2.データ収集方法:調査票は6下位尺度57項目から成る「在宅介護を継続している家族の生活安定度尺度」暫定版に回答を得るものとし、回答を4件法で求めた。3.データ分析方法:項目の平均点から回答の偏りを、項目間相関より相関の高い項目の削除を検討した。ついで探索的因子分析を行い尺度の再構成を行った。因子毎に主成分分析を行い、一次元性を確認し、問題のある因子については再度項目め検討を行った上で、因子数と各因子に属する項目を決定した。因子得点を算出し、理論的に関わりのある変数との関係性について検討した。クロンバックα係数を求め、尺度の内的整合性を検討した。【結果】86カ所の訪問看護ステーションから協力を得て、258家族に調査票が配布され、その内233家族(90%)からの回答が得られた。分析の結果、「在宅介護を継続している家族の生活安定度尺度」は、介護生活ルチン化因子(8項目)、介護家族の絆因子(6項目)、介護に対する家族協力体制因子(5項目)、介護生括ゆとり因子(7項目)、介護サービス使いこなし因子(6項目)の5因子32項目から構成され、因子抽出後の累積寄与率48.9%、因子毎のクロンバックα係数は0.697〜0.795であった。【考察】開発された尺度は、一定程度の信頼性と妥当性は確認されたものの、より多角的な妥当性を備えた尺度へと洗練させていくこと、また、評価者が高齢な介護家族メンバーである場合が多いため、より項目数を絞った簡易な回答負担の少ないものにしてゆくことが課題として残された。
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