研究課題
現在の国内外における核融合炉開発を目指してのトリチウム研究においては、医学から理学、工学まで多岐にわたる学問分野を背景とした研究者によってそれぞれの学問領域に特化した課題に対しての研究が続けられてきた。これらの研究成果は結果として核融合炉の安全性に結びつくものであるが、核融合炉全体としての社会的受容性を直接念頭に置いた研究の進め方はられては来なかった。本申請では、本格的なトリチウム燃焼実験ITER装置の建設場所に日本も立候補しているこの時期を機として、本科学研究費補助金を用いてトリチウム研究者が他分野の核融合研究者や他分野の理・工学研究者、文系研究者および一般社会の方々と意見を交わす機会を与えられた。国内外のトリチウム研究の現状について調査した結果1.トリチウム研究者は、これまでは主として核融合炉の燃料システムについての研究を進めてきており、核融合炉のトリチウムに関連した放射線安全性やその対策について充分な説明責任を果たしてきているとは言えない。2.トリチウムの放射線安全対策の観点からは日本のこれまでの個々の研究は世界の中で優れたものが多いが、核融合炉におけるトリチウムの安全対策については核融合炉におけるトリチウムの挙動に即して全体として系統立てた研究に早急に進むことが望ましい。という結論が得られた。その結果は「核融合炉トリチウムの安全性に関する統合的研究」(代表者・西川正史)の平成17年度発足特定領域研究申請に結実した。
すべて 2004
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Journal of Advanced Science Vol.16
ページ: 24-28