研究概要 |
本年度は最終年度にあたり、最も大規模な実践研究を行った。教育実践の概要は以下のとおりである。2006年度後期(2006年10月〜2007年1月)早稲田大学人間科学部(通学制)で実施された講義「教育測定評価論」を対象とした。学生数約140人。eラーニング教材として同授業をライブ録画し、編集を施した教材が併行利用された。eラーニング教材は、講義動画,パワーポイント資料,およびBBSによる質疑応答機能から構成されていた。学習者には授業開始と同時に、eラーニング教材が提供され、それの利用方法について入念な説明と予備的試行が行われた。以後、授業内容からみた3つの主要テーマに関連したレポートの提出が求められた。 この研究の眼目は、eラーニング教材の利用の状況と学習者のレポートの評価の関連性を分析することにある。全ての学習者のeラーニング教材の学習履歴と評価の関連性が分析された。結果の概要を述べる。(1)評価の得点に応じて、上位群,中位群,下位群の3群に分けた場合、中位群,下位群の学生において、eラーニング教材の利用を重ねた場合、高い得点上昇率が見られた。(2)これに比べ、上位群においてはeラーニング教材の利用と評価の得点との関連の有意性は見出されなかった。しかし、このグループのeラーニング教材の利用傾向を見ると、個人差が大きく、eラーニング教材の利用ストラテジーを詳細に調べる必要性指摘できる。この件に関しては、中位群,下位群においてもその必要性を感じる。拘束性の少ない自由な学習環境において、学習者がどのような学習行動を自発的にとるかの研究が必要である。
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